20041015

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 はじめに

図書館学課程の授業を行うようになって5年以上になりますが、恥ずかしながら、図書館見学を企画したのは初めてです。動機としては、いろいろな機会に図書館を見学させてもらう中で(特に学校図書館を教育実習の巡回指導のさいに見学させてもらうことが多いです)、学生さんたちにも図書館の現場を実際に見てもらいたいと考えたからです。当然、図書館実習をしていただくのがよりよいことであるとは思いますが、うちの大学の図書館学課程では図書館実習は自由選択科目であり、ごく一部の学生しか履修しない現実があります。

一般的に図書館見学と言えば、新しいサービスを始めた図書館や有名な図書館を見学することが多いのですが、今回は学校図書館関係の科目のなかでの見学ということで、大学の近郊の学校についてホームページを調べ、もっとも活動が活発そうである都立武蔵高等学校を候補としました。突然、電話をし、お願いすることは失礼にあたらないか、なかなかOKしていただけないのでは?という不安が大いにありましたが、まずは電話しないと始まらないと考え、第一候補の武蔵高等学校から電話をしてみたところ、快く見学を引き受けていただけました。

 図書館見学の感想

武蔵高等学校学校図書館の第一印象

校舎自体を3年前に建て替えたということで、とても新しく、きれいな図書館でした。できるだけ、建築計画の段階から図書館関係者が「低い階、入り口近く」という意見を出していたそうで、結果として、一階ではないのですが、校舎の入り口を入り、階段をあがってすぐのところに図書館がおかれることになったそうです。この立地は体育館への廊下であるため、人通りが多く、無意識のうちに図書館の存在をアピールすることにつながっていそうです。

こちらの図書館への案内は実はイメージではもう少し小さなものだったらしいのですが、希望した寸法ができあがってみたら意外と大きくて、当初は失敗したかもと考えたらしいのですが、結果としては、図書館への入口がとてもわかりやすくなっています。実際に、図書館についたときの第一印象はこの案内が大きくてわかりやすいなぁ、というものでした。

学校司書の方に挨拶をして事務室を入りつつ、すぐ隣の閲覧室が目に入ってきましたが、1時限目という時間にも関わらず、ほとんどの閲覧席が埋まっている状態にとても驚かされました。これは1、2時限目は選択授業の時間のため、授業を持たない生徒がいるから、というお話でした。しかしながら、そのような空き時間を図書館で過ごさなくても構わないのに、わざわざ図書館に来る学生が多い、ということは、この図書館が魅力的でいかに学生さんを惹きつけているかの証であると思いました。


開館時間

都立武蔵高等学校は全日制と定時制の両方がある高等学校です。武蔵高校といえば私の学生時代から有名な進学校であり、全日制のほうはたぶん学力的にはよい学生が多く、定時制は定職を持ちながらの勉学ですので進学率はあまり高くないと推測しますがあまりよくわかりません。とにかく、全日制と定時制それぞれの学校司書が配置されているため、開館時間は全日制の普通高校の学校図書館と比べれば、大幅に長いことになります。実際に午前8時半から午後9時半まで開館しています。残念ながら土曜、日曜は閉館のようですが、時間だけを見れば、公共図書館よりも開館しています。もしかしたら、大学図書館よりも開館しているかもしれません。開館時間が長ければ、それだけ利用可能性が高まり、一方で、全日制、定時制の専任の学校司書が配備されているため、特に無理をして開館時間を増やしているというわけでもありません。

2008年度に定時制の統廃合によって、この高等学校の定時制はなくなるそうです。たぶん、学校図書館の開館時間もそれに伴って短くなりますが、この図書館の特徴のひとつが失われてしまうのは残念なことです。

コンピュータ

 図書室内のコンピュータそれぞれには「夏目漱石」「森鴎外」などの有名な作家の名前がついていました。インターネット端末の調子が悪く動かない状態でしたが、そのコンピュータについて話すときに「森鴎外はいつも調子が悪くて」といった感じで話すと思うと、なんだか面倒な事態がほのぼのしてしまうのが不思議です。各コンピュータへの愛着もわきますし、よいアイデアだと思いました。

インターネット端末は本来は二台あるそうですが、見学した時点では二台ともにダウンしていました。司書や司書教諭は端末を普通に利用することはできるでしょうが、個人的には、彼らが端末のトラブルを直す技術を持つ必要はないと思います。トラブルが起きた場合の対処は、学内の専門家に時間があり余力があれば、彼らにお願いし、予算があれば学外の専門家にお願いすればよいと思います。学内に頼める人がおらず、予算が十分でない場合には、インターネット端末のトラブルはそのままにされてしまうことになります。実際に今回の見学時も予算は資料購入費に使い切っており、インターネット端末を新しくする予算的余裕はないということでした。
コンピュータの蔵書管理システムであるCASAを使っているので、OPACも提供しているのですが、やはりコンピュータのトラブルでいったん落ちているようです。


インターネットのフィルタリング

「ぷらら」というプロバイダのフィルタリングを入れているそうですが、あまり精度は高くなく、あまり見せたくないようなページが簡単に見えてしまったり、一方で、見せたいページがブロックされたりしてしまうそうです。たとえば、高二の保健体育の授業で、図書室での調べ学習をかなり多くの回数を使って行っているそうですが、「中絶」問題について調べようとしても、「中絶」という語がでてくるだけでブロックされてしまうため、そのときにはインターネットのウェブを調べることがほとんどできなかったそうです。

インターネットのフィルタリングは、最近では学校の現場で一般的になっていますが、このような弊害を生むことを考えると、一律に導入するのはいかがなものかと考えます。学生は、学校を一歩離れれば、自宅ではフィルタリングをされないインターネットアクセスを使っていることがほとんどでしょう。そのような状況下ではフィルタリングしたことによって学生を有害情報から"守る"[1]ことは、あえて言えば、学校内でしか有効とは言えません。精度の低いフィルタリングとその限定的な有効性を考えたときに、果たして、学校であれば図書館であれフィルタリングを導入するのは「百害あって一利なし」なことだと考えます。

 こちらからの事前の質問

こちらの突然お願いした見学を受け入れるにあたり、どのような質問をされるのか準備もあるため、できれば教えていただきたいと最初の交渉時に依頼されました。そのため、以下のような質問リストを作り、送付いたしました。

  1. いま一番現場で問題になっていることは何か
  2. 学校図書館が開館している時間はいつか
  3. 学生の利用はどの程度か
  4. 教員は利用しているか
  5. 授業で学校図書館は利用されているか
  6. 選書はどのように行っているか
  7. 生徒たちのリクエストはどの範囲まで受け入れるか
  8. 漫画はどのように扱っているか
  9. コンピュータを利用した電子情報源(CD-ROM)はどのように扱っているか
  10. インターネットはどのように扱っているか
  11. 目録は電子化されているか
  12. 請求記号にはNDCを使用しているか
  13. NDCを使用している場合、何桁程度の細かさで付与しているか
  14. 他の施設(公共図書館など)と連携はしているか

実は一番最初を除いては私が出した質問でして、一番最初の質問はすぐに思いつくはずの、本当に重要な質問のはずですが、恥ずかしながら私自身は細かいことばかりで思いつきませんでした。最初の質問は長田先生が付け加えたものです。

質問への回答

窪田さんをはじめ学校図書館関係者の方々はお忙しい中、各質問に対してきちんと考えてくださって、4ページにわたる回答を用意してくださいました。

  1. いま一番現場で問題になっていることは何か
    1. 少ない予算
    2. 2008年度から中高一貫校になること
    3. 都立高校図書館の専任職員制度が危ういこと
  2. 学校図書館が開館している時間はいつか
    • 全日制 8:30AM-4:45PM 土曜日は閉館
    • 定時制 5:00PM-9:30
      • 全日制と定時制高校が一緒になっているという利点がこの長い開館時間につながっています。実際に書類上の区分けはありますが、定時制の職員の方は昼過ぎからいらしているということでしたので、午後から夕方にかけては職員がお二人の状態になるようです。コンピュータ目録化を進めるときには遡及入力が必要になり、非常に大変な作業になりますが、ここでは午後の二人が重なる時間を利用して一方の方が入力に専念することができたおかげで、現在のコンピュータ化が実現できたそうです。
  3. 学生の利用はどの程度か
  4. 教員は利用しているか
    • この二つの質問については、利用統計を用意してくださいました。それによれば、貸出冊数は昨年度の4月はじめから3月末までの全貸出数は6,552件でそのうちの639件が教職員によるものだそうです。生徒数と職員数は969名と72名だそうですから、教職員の一人あたりの貸出数は学生の一人あたりの貸出数よりも多いようです。また、学校司書の方によれば、都立高校の学校図書館における最も利用の多い図書館の統計が、この図書館の統計とどうも同じだそうですので、都立高校の中ではもっとも利用の多い図書館ということができそうです。活発な利用を見ている目からはそれもうなづけました。ただ、全国のほかの図書館では、たとえば滋賀県では桁違いに利用の多い学校図書館などもあるそうで、都レベルでは利用が多い図書館といえますが、全国レベルかといえばなかなか微妙なところのようです。まあ、貸出数をカウントする場合に、視聴覚資料やマンガをその図書館がどの程度持っているのか、また、それらを貸出すのか、また統計にそれらを入れるのか、などの条件で、貸出総数はあっというまに変わるものですから、条件をそろえなぁ
$$HHf3S$OFq$7$$$N$+$b$7$l$^$;$s!#(+授業で学校図書館は利用されているか
    • 高2の「保健」の授業では週に一度、図書館を利用しているそうですので、すべての学生が必ず
  • 選書はどのように行っているか
    • 図書館選書基準を作成し、それに基づいてきちんと行っているのだそうです。具体的な方策は
      1. 教職員に必要な資料を年度開始時にアンケートをとり、購入計画を作成する
      2. 図書館に関する職員(司書教諭1人、学校司書2人、図書館係教諭3人)による月例の選書会を開く
      3. 生徒のリクエストは常時受けつける
  • 生徒たちのリクエストはどの範囲まで受け入れるか
    • 「選書基準に照らして」できるかぎり応じるそうです。最近、保留したものとしては、相当な冊数になると思われるマンガシリーズ物2組、高額なビジネス書1点だそうです。
  • 漫画はどのように扱っているか
    • 歴史・古典文学・手塚治虫などのマンガが中心だそうです。以前は、マンガの紛失が多かったそうで、事務所内の閉架書庫に入れていたそうですが、現在では、カウンターのすぐちかくに別置されていました。
    • 今回の見学にあわせて、資料の見直しをしたときに、閉架書庫に残っていたマンガ資料を見つけたそうです。思わぬところで、この見学が役に立ったようでうれしい限りです。
  • コンピュータを利用した電子情報源(CD-ROM)はどのように扱っているか
    • 図書の付録としてついている場合、普通に貸出しているようです。
  • インターネットはどのように扱っているか
    • こちらに対する回答はありませんでしたが、口頭でのお話の中でありましたし、上記の通りです。
  • 目録は電子化されているか
    • 2002年度からコンピュータ目録を提供しているそうです。実際にはその数年前から計画的に移行を進めてきたそうです。事務室の奥に目録カードボックスがありましたが、そのデータはすべてコンピュータに入力済みなので、実際には必要はないそうです。もしかしたら使いたい図書館もあるそうなので、学校図書館に声をかけて、必要なところにカードボックスは引き取ってもらうそうです。
  • 請求記号にはNDCを使用しているか
  • NDCを使用している場合、何桁程度の細かさで付与しているか
    • NDC新訂9版をつかっており、基本は3桁、210,289,291-299-,302,367,490-499,783,813,913,914は4桁、911は5桁もあるそうです。910など3桁では分類が難しい部分もあるそうですが、遡及修正には手間がかかるため、なかなか修正できないようです。
  • 他の施設(公共図書館など)と連携はしているか
    • 都立図書館とは今年度から「都立学校レファレンス支援サービス」が今年度から始まったそうです。
    • 武蔵野市立図書館は、レファレンスには応えてくれますが、団体貸出にはとても厳しい制限があるようです。武蔵野市立図書館では、あらかじめ団体貸出用の資料が決まっているそうです。小学校や児童園を対象としたもののようで、絵本や児童書が中心のようです。結果として、テーマでの貸出ができないので、授業などでは使えないそうです。質問に答えてくださった学校司書の方が以前にいた自治体では、普通にテーマに応じた団体貸出を行っていたそうです。たしかに、武蔵野市の団体貸出の方法は制限が大きすぎて、あまりよいとはいえないかもしれません。

 未整理の写真

  • [1]個人的には有害情報の識別力や耐性がつかないという点から長期的にみれば守ることにはならないと考えます
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最終更新時間:2005年10月22日 20時42分17秒